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2024年05月01日号 (第503)

定額減税の少しややこしい話

 みなさん、こんにちは。ゴールデンウイークです。今年は前半と後半が分断される形になり、暦通りに仕事をしていると微妙に残念な日程になりました。

 さて今回は、定額減税について少し掘り下げてみます。

定額減税が受けられない人

 定額減税については、年間を通して行う定額減税と、6月以降に適用が受けられる月次減税を切り離して考える必要があります。

 6月以降に行う月次減税は、源泉徴収税額表の乙欄または丙欄が適用される場合には適用されません。また6月1日に勤務している人が対象となるため、6月分の給与が支給されるケースでも6月2日以降に入社の場合は、月次減税を受けることができません。ただし乙欄または丙欄適用の人は、確定申告で定額減税を受けることが可能ですし、6月2日以降入社の人は、年末調整で定額減税を受けることが可能です。

 また定額減税の要件として、合計所得金額が1,805万円以下である必要があります。具体的には、額面で2,000万円を超える給与収入がある場合、定額減税は受けられないことになります。例えば月額170万円の給与であれば、年間で2,040万円の給与収入になり、合計所得金額は1,845万円で、定額減税が受けられないことになります。ところが月額給与が170万円の場合でも、月次減税は行われます。給与収入が2,000万円を超える場合は年末調整が行われませんので、確定申告をして最終的な精算を行うことになります。いずれ納税しなければならないのなら、月次減税は不要なのにという声が聞こえてきます。

定額減税と扶養控除の使い分けは可能?

 少し込み入った話題になりますが、給与収入が2,000万円を超える甲、その配偶者で給与収入500万円の乙がいるとし、子供2人が控除対象扶養親族に該当する場合を想定します。この場合、甲は所得制限で定額減税が最終的に受けられないので、子供2人分について、乙が定額減税を受ける方が有利になるのでしょうか。

 乙が子供2人分で6万円の定額減税を受けることが可能だとしても、甲が課税所得1,800万円で、子供2人分について扶養控除を受けることができれば、76万円(38万円×2人)に対する所得税率が33%で250,800円の節税効果となるのに対して、乙が扶養控除を受ける場合の所得税率が20%であれば、節税効果は152,000円となります。結局、税率差で98,800円不利になってしまいます。

 子供2人分について甲が扶養控除、乙が定額減税を選択できれば有利なのですが、国税庁の解説によれば下記のとおりで、扶養控除と定額減税の対象は一致させる必要があります。

3 上記1及び2の場合において、あなたがその同一生計配偶者等に係る配偶者控除や扶養控除などの所得控除を受けるときは、その同一生計配偶者等についてはあなたの定額減税額の計算に含めることとなります。
逆に、例えば、あなたの扶養親族について、その扶養親族があなたの妻のもとで扶養控除を受ける場合は、あなたの定額減税額の計算に含めることはできず、あなたの妻の定額減税額の計算に含めることとなります。

令和6年分 年末調整に係る定額減税のための申告書.pdf (nta.go.jp)

 一回だけの減税ですが、意外とややこしい話になるケースもあるので注意が必要です。上記のように、誰の扶養にするかで有利不利が生じますので、下記の書類などを利用して、一律に意思確認をした方がよいかもしれません。

令和6年分 源泉徴収に係る定額減税のための申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書.pdf (nta.go.jp)

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